そもそも私は電子書籍には反対です
インターネットで電子書籍を検索すると、非常に肯定的な意見が多数出てくるのですが、なぜそのような肯定的な意見が出てくるのでしょう?
それは、アフィリエイトという電子書籍を紹介することによって、電子書籍を紹介した側、つまり電子書籍を肯定的に書いている者に対しお金が入るため、という、極めて即物的な理由があるからこそ、電子書籍が肯定的な意見が主流となっている側面があります。
私はこのサイトではアフィリエイトを一切、使用していません。良いものは良いと言いますし、悪いものは悪いと言うつもりです。
私は電子書籍に対して全面的な肯定意見はありません。むしろ書籍の代替としての電子書籍で発行することは、文化の破壊である、とすら考えます。
実際、書籍を電子書籍だけで読むと、使いにくい、読みにくい、読んだ実感がわかないですし、「これで本当に本を読んだと言えるのか?」という気持ちにすらなってしまいます。
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ドキュメントスキャナによる本の電子化の意味
いきなり否定的な意見から書いてしまいましたが、電子書籍、正確にはドキュメントスキャナによる書籍の電子化という意味については、私は一定程度、便利であるとことは認めます。
その理由として、読み終わった書籍の保管スペースの削減、そして大型本持ち運びの利便性などを考えると、読了後の保存のための方法としては、非常に便利な方法であると思います。
その人の考え方を知るためには、その人の本棚を見ればいい、などと言いますが、本棚に大量の本が蓄えられていたとしても、その本を読むことができるのは一回に1冊です。
それは多くの書籍をデッドスペースとして自分の居住空間に使用していることに他なりません。
ただ、書籍を電子化する場合にしても、私はまず紙の書籍を読み、そして今後、保存に値すると思った書籍のみ、電子書籍化しています。
実際、ドキュメントスキャナについても、上記の様なアフィリエイトによる収入を得るため、非常に肯定的な意見ばかりがインターネット上で流されていますが、このドキュメントスキャナについても、私は決して使いやすいものであるとは思いません。
ただ、本の保存スペースの削減、または写真集などの大型本においてそれをタブレットによる閲覧が可能である、ということのメリットは大いに認めるものですが。
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オンデマンド出版と紙書籍で提供するという意味
正直、本は紙媒体で販売するべきであると私は考えます。
それは、書籍とは紙で読むからこそ知識、もしくはそれが体験として定着するものですし、そこに流通業者や編集者が関わり、また、本を印刷するという行為であるが故に居一定程度以上のレベルが保たれているのですし、また、業界全体の保護という意味もあります。書籍の流通業界を破壊することは一種の文化破壊にほかなりません。
悪貨は良貨を駆逐する、という言葉がありますが、それと同じことが電子書籍という、お手軽な出版物と称するデータの集まりによって、書籍そのものの信頼性が失われる事態となりかねないのではないでしょうか。
また、逆説的に考えるならば、電子書籍で「しか」出版できない書籍とは、その程度の内容しかない、と考えることすら可能です。
本を買うのは紙の書籍で買い、その書籍を紙の状態で読み、その書籍が保存に値すると考えた場合にのみ、自分でドキュメントスキャナーを使って電子書籍化すれば良いのではないでしょうか。
その方が出版社も紙の書籍を出版することのモチベーションが保たれるでしょうし、また電子書籍化することにより書籍の流通サイクルが明らかに向上するメリットもあるでしょう。
また、現在、出版会の印刷方法としてはオフセット印刷が主流ですが、これは出版時に数千冊程度のある程度の数を確保できなければ増版することができない問題がありますが、これについてはオンデマンド印刷などの少数部数の発行が可能な方法を用いて、よりきめ細かく増版を行なって行くことが、消費者の多様な要求に応えることができる方法なのではないでしょうか。
ただ、その場合、電子書籍化されたデータの違法なアップロードなどについては、しかるべき法的手段を講じる必要はあると思いますが。この問題については、出版社全体がタッグを組んで取り組んでいく問題として認識されるべきではないでしょうか。
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電子書籍の最大最悪のデメリット
私が電子書籍を嫌う理由として、読みにくいと言う現実的なデメリットをまず第一に挙げますが、もう一つ大きなデメリットがあります。
それはアマゾンや楽天などの特定の流通業者が、書籍の内容をコントロールできる状態になってしまう事が、もう一つの最大のデメリットではないでしょうか。
書籍とは、特に日本においては明治の開国以来の文化を支えてきたメディであり、その文化を支えるメディアを特定の企業が独占してしまうことは、明らかに社会の文化的な損失の側面が非常に大きいのではないかと考えざるを得ません。
無論、それらの企業は、「そんなことは絶対にしないと」現在では主張するでしょう。しかし、企業とは月日が経つにつれ、その傲慢さを増していくことがあります。
また、文化とは特定の企業ではなく、市井の人々が作ってゆくべきものです。そのため、特定の企業に依存するような書籍のメディア形態、すなわち電子書籍の主流化は絶対に避けるべきだと考えます。